ピーマン農家が教えます!病気と害虫について

 

はじめまして!岩手県一関市でピーマン栽培をしている、小野寺と申します。

ピーマンは夏の暑さに強く秋まで収穫でき、家庭で栽培している方も多いと思います。家庭菜園でピーマンの栽培をしていて病気や害虫に困ったことありませんか?

ピーマンの収穫は6月~10月と長いため病気の種類も多く、葉・茎・根・果実・花とあらゆる部分に現れるのが特徴です。

このページではピーマンに多く発生する病気や害虫、生理現象について解説していきます。

 

Youtube動画で解説

■ピーマンの病気、害虫を探してみた

 

■日焼け&腐れについて解説

 

■8月要注意!ピーマンの病害虫を紹介

 

■農薬散布を動画で解説

 

ピーマン病気一覧 

 
  • ①灰色カビ病

  • 【症状】発病は開花後の花びら(花かす)から始まり、茎、葉、花弁にまだら模様の病斑が発生し、症状が進行すると灰色のかびが付着します。枝や分枝部分にも発生し、枝は茶褐色となり灰色のかびが生じます。
  • 【時期】発生時期は3月から12月頃で冬を除いて1年中発生しやすい病気です。とくに梅雨や秋など雨が多い時期に見られます。
  • 【原因】灰色かび病の菌は風や雨によって飛散する糸状菌が原因となる病気で、多湿の環境を好むため、隣同士の距離が近い株や、葉や茎が多く茂った株に発症しやすくなります。春や秋の長雨や梅雨、昼間暖かく朝夕冷え込むような気温差でも菌の繁殖を促します。
  • 【対策】発病した部分は取り除きます。風通しの良い場所で株間を空けて植え、成長し葉が多くなってきた場合は過繁茂にならないよう必要に応じて摘葉、整枝します。水はけのよい土にして多湿を避けましょう。
  • 【深堀記事】■灰色カビ病を詳しく解説
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    ②うどんこ病

  • 【症状】初期は葉裏に薄い霜状のうどん粉のような白いかびが発生し、後に葉表に淡い黄色の斑紋が現れます。進行すると葉全体が黄化し落葉します。
  • 【時期】25度程度が発病適温で、春や秋の日中乾燥していて朝夕冷え込む時期に感染が多くみられます。
  • 【原因】原因菌となるカビ(糸状菌)は土壌の中に生息し、カビの胞子が風や雨に飛ばされて付着し広がります。
  • 【対策】果実や葉に発生が確認された場合は、胞子が飛ばないよう取り除きましょう。適度に風通しを良くし、過繁茂に気を付けます。圃場や菜園周辺の除草、窒素過多にならないように適切な施肥量を保ちましょう。
  • 【深堀記事】■うどんこ病を詳しく解説
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    ③斑点病

  • 【症状】初期は葉の表面に淡黄色の水が浸みたような小斑が発生し、次第に拡大して灰白色または暗褐色に縁どられた輪を重ねたような円形模様の斑点になり、やがて症状が進むと葉全体が黄変し落葉します。
  • 【時期】4月から11月、20~25℃の温度と多湿条件を好みます。
  • 【原因】病原菌はかびの一種で風や雨水の跳ね上がりで、土壌の菌が作物に付着すると感染します。
  • 【対策】発病した部分は取り除きます。水はけを良くし、密植、過繁茂、換気不足の場合に発生しやすいので日当たりや風通しを良くしましょう。
  • 【深堀記事】■斑点病を詳しく解説
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  • ④菌核病

  • 【症状】主に茎の分岐部に褐色の水浸状の病斑をが発生し、発症した部位は腐敗してしまいます。 多湿環境下では病斑部に白色綿毛状のかびが生じ、灰褐色の菌核を形成します。花梗や花蕾などにも発症します。
  • 【時期】5月から9月、細菌が繁殖しやすい梅雨から夏にかけてや、雨が降った後の多湿条件下に多く発生する病気です。
  • 【原因】菌核病は糸状菌(カビ)が原因で発生し、発病株から落ちた「菌核」が土壌に残留して伝染源になります。風や雨水の跳ね上がりで、土壌の菌が作物に付着すると感染します。
  • 【対策】過繁茂にならないようにし、植物の周りの空気を入れ替えられるよう風通しを良くしましょう。また、圃場の湿度が上がらないように水はけを良くしましょう。被害にあった株はなるべく早く除去しましょう。
  • 【深堀記事】■菌核病を詳しく解説
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  • ⑤モザイク病

  • 【症状】初期は葉・茎・花の部分に黄淡色の玉模様ができたり、葉脈に沿って緑色が薄くなったりします。その後徐々に株全体に広がり、花やがく(花弁の外側の部分)、果実などにもモザイクが現れます。
  • 【時期】4月から10月、特に春と秋、晴天が続いて虫の活動が盛んな時期によく発生します。
  • 【原因】ウイルスに感染することによる伝染病です。モザイク病に感染した植物の汁を吸ったアブラムシをはじめとする虫によって運ばれ、移動した先の植物の汁を吸うなどしたときに感染します。また、人がウイルスのついた手やはさみなどを介して発症するケースもあります。
  • 【対策】発症した葉や茎、果実などは取り除きましょう。薬剤では改善できないので、防虫ネットでウイルスを媒介する害虫類を寄せ付けないことが重要です。
  • 【深堀記事】■モザイク病を詳しく解説
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    ⑥青枯れ病

  • 【症状】葉が緑色のまましおれる症状があり、特徴としては昼間はしおれ、夜になると回復します。しかし、徐々に回復しないまま枯れていきます。
  • 【時期】5月から10月、梅雨から夏は細菌が繁殖しやすく多く発生する病気です。 病原菌は地温が25〜30度の高温で活発に活動します。
  • 【原因】細菌が原因で発症する病気です。前作の被害作物の残渣(ざんさ)中で生存して、次作の感染源となります。土壌中の細菌が、水を媒介にして根の傷から侵入します。
  • 【対策】発病した部分は取り除きます。多湿で発生しやすい土壌からの病気です。水はけのよい多湿にならない土壌づくりを心がけましょう。
  • 【深堀記事】■青枯病を詳しく解説
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  • ⑦疫病

  • 【症状】病原菌はカビの一種で葉や茎、果実に被害が発生します。茎の地際部や根部、葉、果実が水浸状や軟腐状になり黒変して腐敗します。多湿環境だと黒変部に霜状のカビが見られます。
  • 【時期】降雨の多い多湿条件で発生し、28~30℃と気温が上昇すると多発します。
  • 【原因】卵胞子として土壌中で越冬します。また、発病茎葉に生じた霜状の灰白色の分生胞子を生じて空気伝染します。かん水や通路の水の跳ね上がりでも感染します。
  • 【対策】排水対策を行い、高畝栽培にしましょう。発病が見られた株は抜き取り、圃場外へ処分しましょう。薬剤による防除を行いましょう。
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■ピーマン害虫一覧

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    ①アブラムシ類

  • 【生態】ピーマンでは主にモモアカアブラムシ、ワタアブラムシが発生します。体長は約1~2mm程度です。露地よりもハウスで急激に増殖し、ハウス内では雑草や作物残渣部分で越冬可能です。圃場外からの侵入は4月~5月に有翅虫の飛来により、その後、無翅虫が増殖します。
  • 【被害】アブラムシはピーマンの葉や茎などに口針を刺して栄養分を吸い取るため、アブラムシがピーマンの芽や若葉、つぼみや葉の裏につくと、葉や実の形が悪くなったり、黄色く変色し、ひどい場合には枯れてしまうこともあります。また、ウイルスを媒介してモザイク病を発生させたり、排泄物を通してすす病を発生させることもあるため、早めの駆除が必要です。
  • 【対策】冬期間、雑草を繁茂させたままにしたり、残渣を放置したままにしないことで、アブラムシがハウス内で越冬するのを防ぎます。定植時は粒剤を使用し、その後は発生次第、早期に薬剤散布をします。紫外線カットフィルムや防虫ネットを張ることで、ハウス内への侵入を防止することができます。
  • 【深堀記事】■アブラムシを詳しく解説
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  • ②アザミウマ類

  • 【生態】ピーマンでは主にヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマなどが発生します。体長は約1~1.5mm程度です。発生しやすい時期は4~10月頃で、特に雨が少なく高温で乾燥している時期に繁殖しやすく、梅雨明けから8月にかけて被害が多く見られます。
  • 【被害】成虫・幼虫が葉に寄生・吸汁します。被害葉はカスリ状の小さな斑点状の被害痕がみられます。多発して被害が進むと、葉が縮れて変形します。またウイルスを媒介し、黄化えそ病を発生させます。 黄化えそ病に感染すると、葉が縁から変色して落葉し、生長が著しく抑えられます。
  • 【対策】周囲の雑草から移らないよう除草を行い、網目が0.4~0.8mmほどの赤や黒の防虫ネットをかけることや、光の反射を嫌うため、シルバーマルチを敷くのも効果的です。それでも発生した場合は、早期に薬剤散布をします。薬剤散布は、花の内側や株のふところ部にもかかるように丁寧に行います。
  • 【深堀記事】■アザミウマを詳しく解説
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    ③コナジラミ類

    【生態】ピーマンに寄生するコナジラミは、タバココナジラミである可能性が高いです。体長は1mm程度です。圃場外からの侵入は、春季と秋季に多く、前作物や周辺の雑草からの成虫の飛来や苗による持ち込みが発生源となります。
  • 【被害】排泄物が葉や果実に付着し、そこにスス状の汚れが生じます。ピーマンでは、果実の色がうすくなる白化症状を生じることがあります。
  • 【対策】紫外線カットフィルムや防虫ネットを張ることで、ハウス内への侵入を防止することができます。成虫は黄色に誘引される習性があるので、黄色粘着トラップを設置することで成虫の捕獲及び早期発見につながります。また、密度が高くなると防除が困難になるので、発生初期の防除を徹底します。
  • 【深堀記事】■コナジラミ類を詳しく解説
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  • ④タバコガ類 

  • 【生態】幼虫は体長約35~40mm程度で、体色は変化に富んでいて淡緑色~黄褐色等です。 成虫は体長約15mm~17mm程度です。卵はひとつづつ茎や果梗に産み付けます。圃場外からの侵入は8~9月に成虫の飛来により、産卵後、孵化した幼虫が葉や果実を食害します。
  • 【被害】幼虫が花や新芽を食害した後、果実のへたや肩のあたりに穴をあけて食入し、未熟種子や果肉を食べます。
  • 【対策】新しい食痕や被害果を見つけたら、その周辺に幼虫がいるので注意深く調べて駆除します。 防虫ネットを展張し、ハウス内への侵入を防ぎます。
  • 【深堀記事】■タバコガ類を詳しく解説
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  • ⑤ヨトウムシ 

  • 【生態】卵は、葉の裏に数十~数千の塊で産み付けられます。そのため孵化した後は、集団で食害を始めます。老齢幼虫は、体長40mm程度です。6月と8月の発生が多く、日中は株本や土壌の浅い部分に潜み、夜間に食害をします。
  • 【被害】主に葉の食害をします。この点がタバコガと異なります。
  • 【対策】老齢幼虫になるにつれ、薬剤の効果が低くなるので、若齢のうちに駆除します。 防虫ネットを展張し、ハウス内への侵入を防ぎます。
  • 【深堀記事】■ヨトウムシを詳しく解説
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    ⑥ハダニ類 

  • 【生態】降雨が少なく、高温、乾燥しているときに発生が多くなります。 また、露地よりもハウスで急激に増殖します。
  • 【被害】吸汁により植物の生育に影響が出るほか、葉に白い斑点がついたり、色がかすれるように茶色っぽく抜けていくので、正しく光合成ができずに弱っていきます。
  • 【対策】冬期間、雑草を繁茂させたままにしたり、残渣を放置したままにしないことで、ハダニがハウス内で越冬するのを防ぎます。ハウスへの侵入を防ぐため、周辺の雑草を除去します。発生次第、葉裏にも薬剤がかかるように防除します。 
  • 【深堀記事】■ハダニ類を詳しく解説
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  • ⑦ホコリダニ類

  • 【生態】ピーマンには主に、チャノホコリダニが発生します。体長は約0.2mmほどの大きさなので、肉眼で確認することが難しい小さな害虫です。
  • 発育が非常に早く、20~30℃では5~7日程度で卵から成虫になります。1雌当たりの産卵数は50個程度です。 成虫は新芽の伸長とともに、生長点や若葉に移動し、葉では裏面に多く寄生します。低温に弱いので、野外での越冬は困難です。
  • 【被害】成虫、幼虫ともに新芽、つぼみ、幼果など成長の著しい柔かい組織を吸汁します。そのため、芯が伸長不能になる、果実のへたの下部分の果肉に淡褐色のすじが入り奇形果になるなどの被害があります。
  • 【対策】冬期間、雑草を繁茂させたままにしたり、残渣を放置したままにしないことで、ホコリダニがハウス内で越冬するのを防ぎます。被害の早期発見が鍵となります。
  • 発見次第、①被害株とその近隣株の生長点付近5節以上を除去。②被害果を全て摘除。③幼果・生長点を中心に念入りに薬剤散布。
  • 【深堀記事】■ホコリダニ類を詳しく解説
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  • ⑧カメムシ類

  • 【生態】体が五角形に近い形状が特徴で非常に多くの種類がおり、地域によって「クサムシ」「ヘッピリムシ」「ジャコ」など様々な呼び方があります。敵の攻撃を避ける為に腹部から分泌液を飛ばします。とても悪臭でこの分泌液がつくと臭いがなかなか取れません。落ち葉の中や樹上などで成虫で越冬し、春になると活動を開始します。
  • 【被害】集団で葉や茎、果実を吸汁し、形が萎縮や変形、落果してしまいます。
  • 【対策】カメムシは圃場周辺の雑草などから飛んできます。周辺の除草や防虫ネットで対策を行いましょう。葉や茎にいなくても株元や土の中に潜んでいる場合もあります。畝周辺の雑草もこまめに除去しましょう。
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■ピーマン生理現象

  • 病気にかかっていなくても、栄養不足や土壌不良、高温、多湿、乾燥などピーマンの生育に悪い影響をもたらす要因があります。これを生理現象といいます。
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    ①白果

  • 【時期】8月以降に発生しやすくなります
  • 【原因】整枝作業が遅れたことによる枝の繁茂や日照不足
  • 【対策】枝の整枝作業
  • 【深堀記事】■白果を詳しく解説
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  • ②赤果

  • 【時期】9月以降に発生しやすくなります
  • 【原因】木の老化や収穫遅れによる長期着果
  • 【対策】適時収穫により木への負担を減らしましょう
  •  ※赤ピーマンは栄養価が高くカラーピーマンとしても販売しており、苦みが減り甘みが出るのが特徴です
  • 【深堀記事】■ピーマンが赤くなる理由
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  • ③黒果

  • 【時期】6月~9月以降に発生しやすくなります
  • 【原因】夜低温で生育が弱っている時に、翌日果実に直射日光が当たることが原因です。この時に土が乾燥していると、より黒変が進みます
  • 【対策】適切な水やり、枝の整枝作業は程度に実施し葉や枝を除去しすぎないようにしましょう
  • 【深堀記事】■黒果を詳しく解説
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  • ④日焼け果

  • 【時期】主に7,8月直射日光により果実表面の温度が高くなることで発生します
  • 【原因】直射日光と高温、乾燥が原因で頭から肩にかけて発生しやすく、組織が壊死する物理的な障害です
  • 【対策】適切な水やり、過度な整枝作業は控える事と適期に収穫をおこないます
  • 【深堀記事】■日焼け果を詳しく解説
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  • ⑤変形果

  • 【時期】1年を通して発生します
  • 【原因】枝の繁茂時と着果増加時に多発しやすくなります。花の形成期に低温や高温などの温度変化も原因と言われています。6月や7月に既に実が曲がったりしわが寄っているようであればそれは肥料と水不足が原因と考えられます。
  • 【対策】適切な水やりと枝の整枝作業、株の実が成り疲れの状態にならないよう適期に収穫しましょう
  • 【深堀記事】■変形果を詳しく解説
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  • ⑥尻ぐされ果

  • 【時期】5~10月、高温で乾燥状態が続く時期に特に発生することが多いです
  • 【原因】高温や乾燥、カルシウム不足、チッソ過剰により実の先端(お尻)が黒っぽくなり腐ってしまいます
  • 【対策】症状のある果実は摘み取ります。高温が予測される1週間程前にハイカルック等のカルシウム資材を早期に葉面散布するようにしましょう
  • 【深堀記事】■尻くされ果を詳しく解説
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  • ⑦コブ果(双子果)

  • 【時期】5月~7月の初期に発生が多くみられます
  • 【原因】夏の暑さで受粉がうまくできず花芽が異常についてしまった場合に一つのヘタから二つの実が形成されてしまう場合があります。
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  • ⑧ヒビ果

  • 【時期】7月以降の夏季や栽培後期に発生が多く見られます
  • 【原因】長期間の着果による果皮の老化や水分不足による乾燥
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  • ⑨石果(着果不良果)

  • 【時期】気温が低い栽培初期及び栽培後期
  • 【原因】主に低温が原因の単為結果(受粉しなくても果実が形成される現象)
  • 【深堀記事】■石果を詳しく解説
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  • ⑩先尖り果・実が細長い

  • 【時期】気温が低い栽培初期及び栽培後期
  • 【原因】主に低温が原因で実が膨らまず先端が尖ったり細長い果実になってしまいます。(生理現象でなく元々細長い品種もあります)

 

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