はじめまして!岩手県一関市でピーマン栽培をしている、小野寺と申します。
毎年ピーマンを栽培していると、同じ圃場でも、去年はよく育ったのに今年はあまり上手く育たないなと感じることがあります。
なぜ同じ圃場で、同じ作物を育て、同じ肥料を与えているのにこのような違いが出てくるのか?
このページでは、同じ圃場で同じ作物を連続して育てることで起きる連作障害について解説していきたいと思います!
ⅰ連作障害とは?
同じ場所に同じ野菜(または同じ科の作物)を続けて栽培することを「連作」といい、やがて生産量が減少したり病害虫の影響を受けやすくなってしまうことを「連作障害」といいます。
ピーマンはナス科の作物ですが、見た目がまったく違うトマト、ナス、トウガラシ、シシトウ、ジャガイモも同じナス科の作物です。
一見して同じ科とは思えない作物ですので知らず知らずに連作となっていることも多く、これらの野菜を同じ場所で繰り返し栽培すると連作障害が起こることがあります。
ⅱ連作障害の原因
連作障害には様々な原因が複合して発生していると考えられています。
・土壌中の細菌類やウイルスなど微生物の成分バランスの崩れ
・温度や湿度、日射量、土壌中に必要な栄養素の不足または過剰など環境要因による生理障害
・作物の根を傷つけたり寄生して養分を吸ったりする土壌害虫
同じ科の作物の場合、土から吸収する栄養素やその野菜に住み着く生物がほとんど同じなため、特定の栄養分の吸収が進みます。
それにより土壌中の養分に偏りが起き、野菜の生育に悪影響が及ぶようになってしまうのです。
ⅲ連作障害の対策方法
連作障害の対策としては以下のような方法があります。
土壌診断に基づいた施肥管理
・土壌診断の診断結果に基づき、土壌の状態を把握した上で施肥量を加減します。
・作物の生育に応じて必要な施肥を行うことで、生理障害の発生を抑制することができます。
有機物の投入
・緑肥作物や堆肥などの有機物を土壌に投入し、土壌中の微生物を多くさせることで、病虫害の発生を抑制できます。
コンパニオンプランツ
・2種類以上の植物を近距離に植えて栽培すると、生育が良くなる、病虫害が減るなどの効果が現れることがあり、
・そのような関係にある植物同士のことをコンパニオンプランツといいます。ピーマンの場合ニラと相性が良いようです。
冬期間のかん水管理
・多くの病原体や害虫は水中で長時間生存できないので、ピーマン栽培をしていない冬期間、圃場に一定期間水を溜めるかん水を行うと連作障害に効果的です。
・また水溶性の塩類や肥料成分も湛水により、溶け出てほ場外に排出できるので、塩害の軽減にも効果があります。
輪作
・野菜の連作障害は、同じ作物を同じ場所で栽培することで発生しやすくなるので、毎年どの場所で何を栽培するかを十分に計画し、常に違う作物が植えられるようにしてください。
接木苗の活用
・果菜類の栽培で、連作障害や生理障害が心配な場合は、接木苗を使用することで軽減できます。
土壌消毒
土壌に含まれる病原菌微生物や害虫、雑草の種子などを死滅させて除去したり無害化したりすることを、土壌消毒といいます。土壌消毒には様々な方法があります。
- 薬剤消毒
- 化学薬品を使用
- 太陽熱消毒(蒸し込み)
- ハウスを密封して太陽熱で地温を上げ、熱消毒を行う
- 土壌還元消毒
- 分解しやすい有機物を土壌に混和して大量の灌水を行う
- 客土(きゃくど)
- 他所から適切な土を持ち込む
- 天地返し
- 表層(表土)と深層(下層土)を入れ替える
- 寒起こし
- 1月〜2月の厳寒期に土を深く掘り起こし、寒気にさらす
- 深耕(しんこう)
- 土を深く耕して通気性・排水性を良くする