はじめまして!一関市でピーマンを栽培している小野寺と申します。籾殻が土壌にもたらす効果をご存じでしょうか?
このページでは籾殻のメリット、デメリット、使い方を詳しく解説していきます。
ⅰ籾殻とは?
籾殻(もみがら)とは、稲穂の一番外側についている表皮(実の殻)のことで、脱穀した後に大量に発生します。
籾殻の成分はおおむね炭水化物が80%、ケイ酸が15〜20%、そのほかの微量成分が数%といわれており、
窒素・リン酸・カリの含有量は少なく、微生物に分解されにくいという特徴を持ちます。
この籾殻を土壌改良剤や肥料として再利用する方法を解説します。
ⅱ籾殻のメリットとデメリット
ここでは、土壌改良材としての籾殻のメリットとデメリットを紹介します。
メリット1―土壌が柔かくなる
籾殻を土壌の微生物が少しずつ分解していくことで、土壌が柔かくなる効果があると考えられています。
籾殻の内側は土壌微生物が活動しやすいため、土壌改良の土台作りとして微生物の住みかを用意してあげることになります。
生の籾殻は土壌の微生物に分解されるスピードが遅いため、土がフカフカの団粒構造へ移行していくには少し時間がかかります。
一般的にC/N比(炭素比)が20より小さいほうがより微生物がより活性化すると考えられています。
籾殻のC/N比(炭素比)は70~80程度と大きいため、微生物の分解スピードはゆるやかで肥料的な効果が見込めるのは先になるようです。
また、籾殻にはケイ酸が含まれているため作物を丈夫にして病害虫に強くなる効果も期待できます。
ケイ酸には作物の倒伏耐性を高めるなど生育を活性化する効果があります。
メリット2―土壌の水はけが良くなる
生の籾殻は水分をはじくため、生の籾殻を投入した直後は土壌が乾燥しやすい状態になることが多いようです。
生の籾殻を大量に混ぜ込んでしまうと、水はけが良くなりすぎて土壌の保水性が低下するリスクがありますので、この間は水の管理には注意をして
ください。すきこむ土の1~2割程度から混ぜてみて様子を見ながら行いましょう。
4カ月ほど経過すると土壌に馴染み保水性が戻ってくるようです。
デメリット―窒素欠乏に注意
土壌改良に役立つとはいえ、籾殻を投入しすぎると窒素飢餓に陥り作物に悪い影響がでるリスクが高くなりますので、その点は注意を払う必要があります。
土壌微生物は、土に存在している炭素(C)と窒素(N)を取りこみ活動を行っています。
炭素(C)はエネルギーとして、窒素(N)はタンパク質として吸収します。
土壌の有機物のC/N比(炭素比)が20を基準にこの値より大きいときは、微生物の働きにより土壌中の窒素が不足しやすくなると考えられています。
ⅲ籾殻の使い方
① 生のまま使う
そのままの状態で土壌にすき込みます。
メリットでもお話した通り、籾殻は固い植物繊維で穴や隙間の多い構造の為、土中に入り込むことで水の流れが良くなり、水はけをよくする土壌改良剤としての効果が期待できます。
硬い土などの場合には籾殻を多く盛り込むことで空気や水の通り道ができるので、固い土が少し柔らかくなる効果もあります。
② 土に敷く
土壌改良以外としては土に直接敷いてマルチやわらの代わりに利用することができます。
また、土の表面を覆うので雑草の防止、霜対策、覆うことによる適度な湿度も保ちます。
③ 燻炭にする
籾殻を燃やし炭化させると、籾殻燻炭(もみがらくんたん)という肥料になります。
籾殻燻炭は籾殻と同じ効果の他にも、 ph(土壌酸度)の改善や微生物活性が期待できます。炭が発する臭いが苦手な害虫予防効果もあります。
籾殻はお米の生成過程で必ず発生します。お米は生産量が多く籾殻も大量に発生しています。
比較的手に入りやすく様々な効果のある籾殻を有効活用し、畑づくりに生かしてみてはいかがでしょうか。