ピーマンは多湿にも乾燥にも弱く、水やり方法を間違えると苗が枯れてしまったりうまく育たない場合があり、水やりは非常に大切な作業の一つです。
水やりの頻度、時間帯、注意点などを詳しく解説していきます。
育苗時の水やり
水やりの際はシャワータイプのジョウロでやさしく水かけをします。
育苗初期は根も葉も小さく、水の勢いが強いと培土が水で流されてしまったり、芽が倒れてしまったり、うまく育たない原因となります。
乾燥に注意して培土が乾いているようであれば午前中に水やりを行います。
夕方は徒長と病害虫発生の原因になるので水やりは控えます。夕方、培土の表面が乾く程度が丁度よいです。
苗が生長してきたら、株元に水をあげることを意識しましょう。
- ポイント
- ピーマンの葉は水をはじくという特徴があります。水やりの場合にも葉の上に水が当たらないよう、根元の土に水をあげるようなイメージで行いましょう。
植え付け(定植)前になると苗の生長と共に根からの水の吸水量が急激に多くなります。
この時期の乾燥は根痛みの原因になるので注意しましょう。
植付け後の水やり
ハウス
- 生育初期(植付け~6月)
- 苗が根付く(活着)までの7~10日間は、根鉢部分を乾燥させないよう、晴天時は毎日株元に水やりを行い活着を促します。
- 5月以降は日射量が多く、ハウス内の気温が上昇し30℃以上になる日も多いです。
- 高温+土壌乾燥は尻腐れ果の原因にもなるので乾燥に注意しましょう。
- 植付け後は生育状況と気温に応じて、1回あたり1.0~2.0ℓ/株を目安に水やりをしましょう。
- 5月以降は日射量が多く、ハウス内の気温が上昇し30℃以上になる日も多いです。
- 生育中期(7~8月)
- 夏場は土の乾き具合を見ながら朝と午後の2回水やりを行うと良いでしょう。但し、気温が下がる夕方の水やりは過湿の原因になるので午後の水やりは遅い時間にならないように注意しましょう。
- 生育状況と気温に応じて、1回あたり2.0~3.0ℓ/株を目安に水やりをしましょう。
- 生育後期(9月以降)
- 9、10月も高温が続く場合は水不足にならないように注意します。
- 1回あたり1.5~2.0ℓ/株を目安に水やりをしましょう。
トンネル・露地
- 生育初期(植付け~6月)
- 水やりは基本的に必要ありませんが、マルチ内の土が乾燥している場合や長期間雨が降らず干ばつが続く場合は、マルチ内に株元から水やりをしましょう。
- トンネル栽培では、トンネル内が極度の乾燥状態になると高温による障害が起きやすくなります。トンネル内の湿度を保つためにマルチの上や周りに水分補給をしてあげましょう。
- 生育中期(7~8月)
- この時期になると根が通路に達しているので、干ばつが予想される場合は朝などの涼しい時間に通路に水やりをすると良いでしょう。
- 追肥したものの長期間雨が降らない場合は、通路に水やりをすることで水分と肥料分の補給をします。
- 生育後期(9月以降)
- 水やりは基本的に必要ありませんが、8月から干ばつが続いている場合は水やりを行いましょう。
水やりの時間帯
気温が上がり始める前の午前中に行いましょう。
特に夏の高温期は気温が高い日中に与えると、水が太陽熱で温められお湯状態になり、根を傷めたり水滴がレンズ効果で茎葉を傷めたりする原因になってしまいます。
水不足のサイン
葉や茎が垂れ下がって萎れてしまいます。
葉表面の拡大が妨げられ、葉のサイズが縮小してしまいます。
葉が黄化する場合があります。
葉の縁や先端が乾燥して茶色に褐変してしまいます。
水をやりすぎると
生育初期に水分量が多すぎると苗が徒長する原因になります。
排水の悪い圃場での水のやりすぎは過湿により根が傷む原因になります。
過湿は病害虫発生の原因になります。過度の水やりは土壌の水が跳ね上がり、土壌中に菌がいる場合は作物に付着して病害虫の感染源となります。
雨の日の水やり
雨天時は土中に含まれる水分の蒸発量が少なく、土の中の湿度は高く保たれているので、水やりはしなくても大丈夫です。
露地栽培では病害の発生を助長するので水やりは控えます。