徒長苗になる原因

 

育苗をしていると苗が細長かったり元気がなかったり、健康的な苗にならない場合があります。

植物を育てていると耳にすることがある「徒長」の原因と太く短いガッチリとした苗に育てるための対策を解説します!

 

 

 

ⅰ徒長とは?

茎が通常よりも長く伸びることを徒長(とちょう)といいます。苗の茎がひょろ長く伸び、頼りない場合は徒長している可能性があります。

苗が徒長してしまうと茎が安定せず倒れやすかったり、定植しても生長や実付きも悪くなってしまうことがあります。

 

ⅱ徒長のサインとデメリット

① 葉の色が薄く元気がない

葉の緑色が薄いというのは効率的に光合成ができていない状態です。

葉や枝の組織の密度が低く柔らかいため害虫の食害を受けやすくなったり、病原菌が植物体に侵入しやすくなるなど、病害虫に対する抵抗力が弱くなってしまいます。

② 葉と葉の間隔が広い

葉と葉の間隔(茎や枝の部分)が長くヒョロヒョロとしてきます。その結果、葉が茂らずスカスカな姿になってしまいます。

③ 倒れてしまう

株元がぐらぐらして支えきれず倒れやすくなります。植え付け後の成長は悪く、花や実がつきにくく収穫量が落ちる原因になります。

 

ⅲ徒長の原因と対策を解説

 

①日照不足

日光は植物の成長に欠かせません。光が足りないと光を求めて明るいほうへ伸びようとします。梅雨や曇天時、日照時間の短い秋冬は日照不足に注意しましょう。

対策
一番はよく日の当たるところで育てることです。
同じ方向からだけでなく、苗床を回転させまんべんなく明るくすることで、一方向だけ伸びてしまう徒長を防ぐことができます。

 

② 水のやりすぎ(過湿)

植物を育てるときに水やりは欠かせませんが、たっぷり与えればいいといえばそうではありません。水の与えすぎは徒長の原因です。

対策
水やりは朝~午前中に行い夕方以降は控えましょう。
曇天や降雨時、夜間に土が湿っているとより徒長を促してしまいますので常に土が湿っている状態はさけましょう。
夕方には土の表面が乾いている程度で大丈夫です。

 

③ 高温

苗床の高温も徒長の原因の一つです。特にビニールハウスなどの施設は太陽の光が当たると一気に温度が上がります。

対策
高温や晴天が予測される日は昼間は換気を行い高温にならないよう注意しましょう。
育苗室の気温は夜間で13~14℃、昼間は27~28℃を目安とします。 夜間の地温は20~23℃が適切です。

 

④栄養過多

窒素成分は茎葉の成長に重要で窒素を与えることで大きく成長しますが、過度な肥料は上にばかりヒョロヒョロと伸びてしまう原因になります。

対策
窒素過多にならないよう肥料は適量撒きましょう。

 

⑤風通しの悪さ

無風状態など風通しが悪いと徒長してしまうことがあります。適度に風を受けることで“エチレン”という成分が発生します。

これは植物の伸びを押さえ茎を太くする作用があると言われています。

温度や湿度確保で屋内や締め切ったハウスで育苗する際は風通しに気を付けましょう。

対策
屋内などで育苗する場合、暖かい時は窓を開けたり苗床を屋外に出しましょう。

 

⑥密植

株と株の距離が近く葉が触れ合うような密植の状態だと、株同士が他よりも自分を良い状態に置きたくて上へ上へと競り合うように伸びてしまいます。

また、過密状態で発芽してしまうとカイワレ大根のように細い茎で徒長してしまいます。

対策
株同士の葉が当たらないよう間引きし、間隔を保ちましょう。

 

まとめ

徒長の原因は上記のいずれかに当てはまることがほとんどで、どの場合も対策をすれば防ぐことができます。

今回ご紹介した内容を参考に徒長の無い太く短いガッチリとした苗を育て、たくさんの収穫を目指しましょう。