
種か苗か
家庭菜園などで野菜を栽培する場合、種から育てるのか、苗から育てるのか迷う場合があります。
大根や人参、牛蒡などの根菜類は、基本的に種からしか育てられません。
これらの野菜は直根性と呼ばれ、根が分かれることなく真っすぐ伸び、折れたり傷つくと新たな根が伸びてこない性質のため、苗にしても植え替えがきかないためです。
また、ほうれん草や小松菜などの葉菜類も種から育てます。苗が売られていることもありますが、根が細く短くて弱いためあまり植え替えに向かないためです。
ピーマン、トマト、ナスなどは種から育てることもできますが、種まきから定植までの期間が70~80日と長く、発芽適温など温度管理が大変です。
ホームセンターや園芸店などで苗が売られていますので、市販の苗から育てるのが手軽で良いでしょう。
種まき方法
移植栽培
育苗箱やポリポットに種を撒いて苗を育てる方法です。
気温が安定しない冬~早春の時期に種を撒きたい時や発芽率の低い野菜などは移植栽培をします。
じかまき栽培
条まき(すじまき)
畝に筋又は線を作りその筋(線)状に種をまく方法です。
1列まくものは「一条まき」、2列まくものは「二条まき」と呼びます。
ほうれん草や小松菜、水菜などの葉物野菜や人参などの根菜類に向いています。
点まき
畝に一定の間隔で穴をあけて中に3~6粒ずつ種をまいていく方法です。
大根や白菜、トウモロコシ、枝豆、エンドウなどに向いています。
ばらまき
畝に均一に全体的に種をまく方法です。
ほうれん草、春菊、玉ねぎ、人参、ネギなどの野菜に向いています。
有効期限と発芽率
種子袋の裏面には有効期限や発芽率が記されています。
これは適正な管理下で種を保管した時に発芽能力を維持できる期間を指しており、有効期限内であれば記載された発芽率が期待できるという意味です。
有効期限は、種苗法により発芽検査から1年間(気密包装の場合は、2年間)と定められています。
発芽率は基準であり、例えば80%と記載されていれば、80%以上は発芽するという意味になります。
この数字は開封してしまったり、種の保存環境が悪かったりすると変わってしまいます。
開封して残ってしまった種は、袋をしっかりと密閉して冷暗所で保管し、早めに使い切るようにしましょう。
種の保存方法
種は常温保存が可能なので販売しやすく、ホームセンターやス―パーでも手軽に購入することができます。
種は高温や多湿を嫌います。
発芽力を長く維持するためには、できるだけ低温・低湿の環境で保存しましょう。
種子消毒
発芽直後に土壌病害や害虫などから種子を守るために薬剤処理を行う種があります。
種子処理がされてる種は、種子袋の裏面に何の農薬が使われているかが記載されています。
種子に色がついているものは消毒済みである目印でもあります。
加工種子
加工種子とは、粒が細かい種の表面にコーティングをして、種子を病害や環境ストレスから守ったり、粒子を大きくし扱いやすくしたものです。
ペレット種子
小さな種子を扱いやすくするために均一な球状に成形し、播種の容易さと発芽促進を目的としたものです。
フィルムコート種子
種子に殺菌剤や殺虫剤をコーティングしたもので、病害虫の侵害を受けにくくなります。
また、種子の発芽に必要な水分や栄養素を保持するため、初期生育も促進されます。
プライミング種子
種子を発芽直前の状態に人工的に進めたもので、種まき後、一斉に発芽することで、その後の管理がしやすくなるメリットがあります。
エボプライム種子
主にホウレンソウ種子の発芽を改善するために行われている処理です。
自然採取のホウレンソウの種は硬い果皮を持ち発芽率が低く、発芽時期にバラつきが多いのが特徴です。
硬い果皮を削いで薄く加工することで、果皮は土にまかれたあと速やかに吸水し、膨らんだ中の種子をすぐに押し出し発芽します。
シーダーテープ加工
水溶性の繊維や微生物分解性の原料を使用した自然に優しいテープに、種子を一定間隔で封入したものです。
シーダーテープで播種された種子は、深さが均一で直線上に発芽・生育するため、効率よく栽培管理をすることができます。
交配種と固定種
交配種(F1)
種苗メーカーが品種改良してできた種が「交配種」です。
より美味しい野菜や育てやすい野菜を作るためにA品種とB品種を掛け合わせてできた種が交配種と呼ばれます。
但し、交配によって作られるのは一代限りで、子孫には親の特徴が引き継がれません。
一般に流通する野菜の種子はほとんどが交配種(F1品種)です。
固定種
固定された品種同士の交配により出来上がった作物の種が「固定種」と呼ばれます。
品種が固定された地域の気候や風土に適応しているのが特徴で、「伝統品種」「育成」と呼ばれるものは固定種であることが多いです。
形状や収穫時期にばらつきがありというデメリットもあります。
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