ピーマン農家の1年間

農家として働くこと

時期によって作業内容が変わる
収穫の時期は毎日収穫・選別・出荷作業に追われ、収穫時期が終われば片付け作業、冬は土づくりや土壌改良、育苗
時期により一日の作業内容は大きく変わります。
日照時間に合わせた働き方
農作業は屋外での仕事が大半となるため、日照時間に合わせた労働スタイルになります。
特に夏場はできるだけ暑さをしのげるように、日が昇る早朝から作業を開始することが多いです。
こまめな休憩と水分補給
農作業は屋外やハウス内で行うことが多い分疲労も大きいです。特に近年は夏は猛暑日が続きとても厳しい環境です。冬場もまた厳しい寒さが続きます。
身体を壊さないためにはこまめに休憩を取り、食事や水分補給をしっかりしながら働くことが重要です。
農業は自然を相手にする仕事
近年深刻化する異常気象や豪雨の影響を大きく受けると、収量が減少し、収入に影響するリスクがあります。
幅広い知識やスキルも必要
農業は農作物を栽培することが基本です。しかし、農機具の取り扱いやメンテナンスといった知識や、病害虫やそれに対する農薬の知識、必要な肥料や土壌改良などの知識も必要です。

 

私達ピーマン農家の1年間

私達はビニールハウスのみでピーマンを栽培しています。

ハウスは全33棟で約45aの栽培規模です。

1年間の作業内容をまとめましたので、参考にしてみてください。

1月

育苗

私達は約4,000本の育苗をしています。

1月は種をまいたばかりで、発芽後は水やりと温度管理を行い生長を見守ります。

■ピーマンの育苗方法を解説

片付け作業

1月中に片付け作業が終わるようにします。

33棟のハウスを残渣も残らず掃除します。

■ピーマン片付け作業

排水対策

排水不良や過湿が原因で根腐れや生育不良が起こる圃場は、暗渠整備や深耕を行い対策します。

■湿害とは 水はけを改善して作物を元気に

土づくり

暗渠整備や排水対策を行い土を埋め戻したら堆肥や籾殻、必要な場合は石灰資材などの土壌改良剤を投入して耕します。

堆肥や土壌改良資材は1~2月に、遅くても定植の1ヶ月前までに施用しましょう。

■土づくりの手順を解説

 

2月

育苗

苗が少しづつ大きくなっていきます。本葉が2~3枚展開したら鉢上げを行います。

鉢上げをスムーズに行うために事前にポットに培土を詰める作業を行います。

■鉢上げ作業を解説

Youtubeやブログの更新

繁忙期は作業に追われて更新が滞っていたので、冬場に更新作業を行います。改めて農業を学び、知識を深めます。

■ピーマンブログチャンネル

 

3月

育苗

気温がだんだんと暖かくなり、ピーマンの苗もどんどん生長していきます。

温度、水やり、徒長に気を付けながら管理します。

 

施肥

作付けの一ヶ月前を目安に元肥を土壌に散布し、耕運します。

畝立て

畝立て管理機で畝を立てます。私達は畝幅約80cm、高さ15~20cmで畝を立てています。

通水

畝に潅水チューブを設置して水を通水させて漏れや詰まりを確認します。しっかり潅水して畝を濡らします。

マルチ張り

マルチを張り地温を高め定植までに待ちます。

元肥の施肥からマルチ張りまでは定植の二週間前を目途に完了させ、地温を高めましょう。

■畝立て方法とかん水チューブ設置を解説
■マルチ張り作業

防草シート・ダンポール・被覆資材の準備

収穫時の歩きやすさの確保と雑草の抑制のために通路に防草シートを敷きます。

定植初期は朝晩の保温のために被覆資材を使用し苗を温めますので、ダンポールとシルバーポリを準備します。

定植までトンネル被覆をして地温を高めます。

■被覆資材について

植え穴開けとかん水

定植前にマルチに植え穴を開けます。株と株の間は50㎝ほど空けます。

定植の前日に植え穴にかん水をします。再びトンネル被覆をして畝を保温し、定植まで地温を上げます。

 

4月

定植

定植適期になった苗を植えます。

朝晩はまだ寒いので被覆資材で覆い、気温と天気を見ながら朝は8:00頃、夕方は16:00前後にトンネルの開閉をします。

■ピーマン定植方法を解説

かん水

定植後、苗が活着するまでは1本1本株元に手かん水を行います。

私達は長めに約3週間~1ヶ月手かん水をしています。晴れた日や気温が上がる日は毎日午前中にかん水を行います。

2本分枝に整理

苗が徐々に生長し、活着したようであれば、第一分枝から3本に分岐している1本を除去します。

残った2本を伸ばして誘引していきます。

一番果の摘果

第一分枝の真ん中に咲いている一番花(一番果)を摘果します。開花してから実を結ぶまでは多くのエネルギーを必要とします。

最初につく花を摘み取り、その後の実の発育を促進させるために摘花します。

■一番果を摘果する理由を解説

5月

点滴かん水へ切り替え

手かん水からマルチの下に設置した点滴かん水に切り替えます。チューブにあいた点滴孔からポタポタと水滴を出しかん水するチューブです。

通水時間や通水間隔はタイマーで管理しており、少量ずつ均一に水やりをすることができます。

気温の変化を見て、1日1回から暑くなってきたら1日2回へ増やします。

 

ダンポールと被覆資材の撤去

最低気温が10℃を上回る頃を目安に朝晩の保温用のトンネル被覆資材は必要なくなるので、ダンポールと共に撤去し片付けます。

誘引

枝を伸ばしたい方向へと導き、植物の形を整える誘引を行います。

5月下旬頃までに完了させます。

■4本仕立て 誘引方法を解説

脇芽の除去

茎と葉の間から生えて来る脇芽という芽を摘み取ります。

10㎝以上を目安に数回に分けて除去するのが良いでしょう。

■脇芽の除去方法を解説

収穫

ピーマンの果実が適度な大きさ(6㎝以上、25g以上程度)に生長したら収穫します。

■ピーマン収穫方法を解説

選別・出荷

選別をして農協へ出荷します。

規格外のピーマンはふぞろいピーマンとしてふるさと納税の返礼品として出荷、または袋詰めをして道の駅やスーパーへ出荷します。

■ピーマン選果作業を解説

6・7・8・9月 繁忙期

6月~9月は毎日のように収穫・選別・出荷・枝の管理作業に追われ、まさに繁忙期と言えます。

誘引

枝が伸びてきたら、折れないように誘引糸に巻き付けていきます。

株の真ん中に日が当たるようなV字型が理想です。

収穫

6月中旬以降は着果量が増えてきて収穫量も増加します。株の負担にならないよう、適切な大きさで収穫します。

選別・出荷

4~5人で選別作業を行います。

出荷時間が決まっているので急いで選別作業をしますが、病害虫の混入には気を付けます。

枝の管理作業

収穫のピークに伴い、枝の伸長も増してきます。

過繁茂になりすぎないように草勢を整えます。

病害果は早めに摘果します。

■ピーマン 枝の管理方法を解説
■ピーマン繁茂 整枝・摘葉・摘芯について解説

農薬散布

農協からの指導を受けて防除暦を確認しながら、農薬散布を行います。

その時期に発生しやすい病害虫に適した農薬を散布します。

■ピーマン防除 農薬散布の方法を解説

追肥

ピーマンは多肥性の野菜で収穫も6~10月と長く次から次へと実をつけていくので、肥料切れを防ぐためにもこまめに追肥を行います。

■ピーマン追肥のコツを解説

草刈り

雑草を放置していると病害虫発生の原因になるので、定期的に草刈りを行い除草します。

温度管理

最低気温が18℃以上になればハウスは一日中開放しハウス内に熱がこもらないようにします。

9月に入ると最低気温が下がってくるので、天気予報を見ながら開閉します。

 

10月

収穫・選別・出荷

気温の低下に伴い果実の肥大が緩慢になってきますが、ハウス栽培であれば10月もほぼ毎日収穫です。

また、成り疲れや株の老化で赤果や日焼け果、病害果などの不良果も増えます。早めに摘果して着果負担を軽減します。

換気

最高気温も低くなってくると、ハウスの換気時間も少なくなります。

ハウス内を閉め切る時間が増えると湿気がこもりやすくなり、多湿を好む斑点病や灰色カビ病が増えます。

やや寒い日であっても日中は少しでも換気を行い、ハウス内の空気を循環させるようにします。

追肥は控えめに

この時期に過剰に追肥を行うと、利用されなかった肥料が蓄積して次年度の栽培に悪影響を与える可能性があるため、控えめに行います。

老化や地温の低下で根の働きや草勢が弱まっている場合は、葉面散布剤を施用します。

かん水は1日1回

気温の低下に伴い、かん水量を1日2回から1日1回へ減らします。

11月

収穫

11月に入ると実がなかなか大きくならず週2~3日ほどの収穫になります。

水道が凍結する前に予め水を止めます。水を止めても1~2週間は萎れません。

11月中旬頃に最低気温が-4℃を下回り、ピーマンの樹が寒さで枯れて萎れてしまい、収穫終了となります。

 

片付け作業

ピーマンが枯れてしまったら片付け作業に入ります。

ピーマンの株を全て抜き取り、圃場内を綺麗に片付けます。

大きく生長したピーマンの片付け作業は重労働です。急ぐ作業ではないので無理せず行います。

■ピーマン片付け作業を解説

12月

片付け作業

12月も引き続き片付け作業を続けます。

育苗設備準備

1月から育苗が始まるので、育苗設備を整えます。

■ピーマン育苗設備を解説

種まき準備

12月末又は1月上旬に種まきをするので、セルトレイに培土を詰めて地温を温めておきます。

■ピーマン種まき準備 培地詰めを解説

 

まとめ

年間を通して様々な作業内容があります。

繁忙期は従業員間で「収穫」「選別」「農薬散布」「枝の管理作業」と作業分担を明確し、効率的な作業体制を構築しています。

作業計画や時間管理を定期的に見直し、皆が働きやすいように改善していくことも必要です。

何よりも農業は体力勝負です。適切な休息を取り、心身ともに健康を維持することが、生産性の向上に繋がっていきます。

農業は自然と向き合い、人々の生活を支える重要な仕事だと思います。作業計画や時間管理、効率化を工夫し、持続可能な農業を目指すことが大切です。