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薬剤抵抗性とは
農作物への病気や害虫による被害を防ぐために用いられる方法のひとつとして、農薬による防除があります。
しかし同じ作用機構の農薬を使い続けると、害虫や病原体が農薬に対する抵抗力得ることでその農薬が効かなくなってしまうことがあります。
これを「薬剤抵抗性」といいます。
この抵抗力が高くなると、同じ農薬では害虫や病原体を殺すことができなくなってしまいます。
薬剤抵抗性が進行すると、害虫や病原体を効果的に駆除することができなくなり、品質低下や収穫量の減少、農薬使用量の増加などの様々な問題が生じてしまいます。
農薬の効果
- 神経伝達系阻害
- 虫は電気信号という形で神経を介して体の隅々に伝達されています。この神経系を阻害・かく乱・麻痺させて害虫を死に至らせます。
- 呼吸系阻害(エネルギー代謝阻害)
- 虫は呼吸によって取り入れた酸素をエネルギーに変えていますが、このエネルギーを合成する過程を阻害するのがこのタイプの薬剤です。
- 発育系阻害
- 虫の中には成長過程で数回の脱皮を行うものがいます。幼虫の脱皮や変態など発育の進行に異常を起こしたり、産卵やう化を阻害して害虫の数を減らします。
薬剤抵抗性を進行させないポイント
- 同じ作用を持つ薬剤の連用を避ける
- 同じ作用機構の農薬を使い続けることで、その農薬に対する薬剤抵抗性を持つ害虫や病原菌が発生しやすくなることが分かっていますので、作用機構の異なる薬剤をローテーション散布することが重要です。
- 薬剤の適正な使用
- 使用頻度や使用量は必ず守りましょう。過剰な使用は薬剤抵抗性の発生を促進させてしまいます。薬剤の使用期間や頻度はしっかりと管理を行いましょう。
- 農薬以外の防除方法も利用しましょう
- 農薬を使用した化学的な防除だけではなく、抵抗性のある品種を栽培する耕種的防除、粘着シートや防虫ネットを設置する物理的防除、天敵昆虫を利用する生物的防除といった防除方法を組み合わせた総合防除を利用することで、効果的に病害虫を防除することができます。