交換性塩基とは?

 

交換性塩基とは?

土壌粒子(コロイド)に吸着されている陽イオン(+)で、他の陽イオン(水素イオンを除く)と容易に交換されるものです。

置換性塩基とも呼ばれます。

土壌粒子は通常の条件ではマイナスの荷電をもっているので、プラスの荷電をもつカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの陽イオンが吸着され、これらを交換性石灰(カルシウム)、交換性苦土(マグネシウム)、交換性カリウム(加里)といい、これらを合わせたものが交換性塩基です。

これらの塩基は土壌中で吸着されていますが、ほかの陽イオンと容易に交換されて土壌に溶出し、作物に吸収されやすいです。

 

交換性石灰(CaO)

石灰とはカルシウムのことで、土壌の粒子に吸着しているものの中で最も割合が多いものがカルシウム(石灰)です。

このカルシウムが土の粒子に吸着している状態が「交換性石灰(交換性カルシウム)」と呼ばれます。

主に作物の体のつくりを強くする働きを持ち、根の生育を促進する働きもあります。

カルシウムが不足すると生長の盛んな新芽や根の生育が悪くなります。ピーマンでは「尻腐れ」という症状があらわれます。

カルシウムは植物体内での移動がほとんどないので、カルシウムが不足していると先端にある組織である新葉や果実まで届かないため新芽に症状があらわれやすいのが特徴です。

またカルシウム欠乏は単に土壌中のカルシウムが不足している場合だけでなく、土壌の酸性化や乾燥、チッ素過多による肥料バランスの崩れなどが原因で根からのカルシウム吸収が抑制される場合にも発生しやすくなります。

 

交換性苦土(MgO)

苦土とはマグネシウムのことでマグネシウムも、交換性苦土(マグネシウム)という形で土壌中に含まれます。

作物の栄養となる炭水化物を合成している葉緑素の構成要素で、作物体内の様々な酵素の活性化を助けます。

マグネシウムが欠乏すると葉緑素の生成が低下し、光合成が衰えて炭水化物の合成が減り、緑色が薄くなったり葉脈間が白化や黄化してしまったりという症状が出ます。

 

交換性カリウム(K2O)

カリウムは作物の光合成や、炭水化物の蓄積、開花結実の促進など作物の調子を整える働きに大切な役割をします。

カリウムは施用しすぎると「ぜいたく吸収」と言って必要以上に作物が吸ってしまい、作物体内のカリウムが多くなると、拮抗作用とも関係し合い、カルシウムやマグネシウム、りん酸、ホウ素などの吸収が低下し、それらの成分の欠乏症を起こすこともあります。

 

塩基バランス

塩基バランスが整うと、肥料の吸収が良くなり微生物も活発に動き始めるといわれています。

一般的には石灰:苦土:カリのバランスの目安は5:2:1です。

これらには拮抗作用があり、それぞれの塩基が十分に土壌に含まれていたとしてもバランスが悪いと作物に十分吸収されないということがあり、この三つの要素は互いに無視できない存在なのです。